奥さんのヴィラ経営のための、家具探しに付き合わされております。バリは平和です。何故この家具の写真を出したかと言うと、今回の気候変動の話に関係があるからです。最後に説明します。
ここからは、気候変動に関する記事で、ご興味のない方は最後まで読み飛ばしてください。
ポーランドでは、世界的には既に関心事項ではなくなってきている国連気候変動会議COP19が開催されおります。ある意味、期待されたように、議論はすすんでいないようですね。
問題点は、途上国と先進国の対立です。これは、二酸化炭素削減の「緩和策(Mitigation)」だけではなく、気候変動が起こってしまった世界に対応するための「適応策(Adaptation)」、そして、適応策でもカバーできないようなような、「損失と被害(Lost and damage)」にも及んでいます。
「適応策」や「損失と被害」は先日書いた汚染者負担原則もしくは、既存の国際開発論にもとづいて議論されるでしょう。これは、先進国が、汚染者もしくは援助者として、途上国の「適応策」や「損失と被害」をサポートし、途上国はもっぱらサポートされるといった明確なポジションがあります。
しかし、「緩和策(Mitigation)」の場合、サポートすることも含まれるが、争点は「途上国と先進国の排出量の割合」である。
- 途上国からしたら、「いままで、先進国が排出してきたから気候変動になった。だから、先進国が二酸化炭素の削減をするべきだ」。
- 先進国からしたら、「途上国からの排出量が増えてきているのだから、途上国も排出量を削減する必要がある」。
実は、これは開発し発展する権利の主張を議論しているわけです。開発するためのには、エネルギーが必要です。エネルギーの消費を上げなくても、開発ができるというのはキレイ事で、現在までに、比較でなく絶対値でそれを成し遂げた国は存在しないと思います。ちなみに開発とエネルギー消費を切り離す事をデカップリングといいます。上記の議論を言い換えると、以下のようになります。
- 途上国からしたら、「いままで、先進国がエネルギーを消費して、開発と発展をしてきた。だから、先進国はエネルギーの消費と発展をを我慢すべきで、途上国がエネルギーを使って発展する権利がある」。
- 先進国からしたら、「途上国は、エネルギーを急速に使いすぎて発展が早過ぎる、だからエネルギー消費を抑えてください。先進国の景気はよくありませんので、今後もエネルギーを使って発展を目指したいです」。
議論とは、「妥協の産物」であり、視点が違うとどちらが絶対に正しいといえません。しかし、議論の争点がよく分かる国際的なシンクタンクが出しているこのレポートを提示いたしましょう。
まず、下記のグラフを見ると過去150年で、EUは全体で27%の化石燃料からの二酸化炭素を排出してきました。しかし、90年代だけに限って見ると、16%に排出の割合が減っています。替わって、中国やインドなどの新興国が台頭してきています。
しかし、インドでも数%ですので、途上国グループからの各国の排出量はまだまだです。でも、中国は無視できないですね。
しかし、このグラフを見ると真の争点が出てきます。二酸化炭素の排出を化石燃料だけに限らず、森林伐採からの土地利用変化まで含めると、インドネシアやブラジルなども一気に重要度が上がります。そして、アメリカのやEUなどが排出した割合は16%程度まで一気に下がります。
一つ目のグラフから、私が思うのは、やはり途上国は、まだまだエネルギーを消費して開発する権利があると思います。しかし、きちんと排出量をモニタリングすることは必要であるとおもいます。減らすことを強要しないで良ければ、モニタリング自体は受け入られると思います。
2つ目のグラフから、真の論点は開発の質ではないかと思います。急速な森林伐採などは、気候変動問題だけでなく、生物多様性の問題も含んでいます。いまでは年間4万種の生物が絶滅しているという報告もあります。
結局、開発の質を問えば、排出量の話をしなくてはいけませんが、今までの再生可能エネルギーだけでなく、きちんとした開発をするための技術協力や生態系保全など、別の側面からのサポートもできると思います。もうすこし、そのあたりも議論されて報道されると良いなと思いました。
最後に、最初の家具の写真の話をしますね。この家具は古い船を再利用して作られております。
木材はすごく長持ちする材料です。うまく使えば何百年も持ちます。今住んでいて、ヴィラ経営を計画しているインドネシアのジョグロも築150年以上と言われています。できれば、こんな再利用木材を使って、森林伐採を減らしたいですが、難しいですかね。