このような、稲作農業ははスバ(Subak)と言われる灌漑システムで管理されている。スバは1000年以上の歴史があり、儀式化されておりバリのヒンドゥー教にのとった農場カレンダーに従って、稲作が営まれている。
灌漑システムに参加している農民達は、カレンダーに従い、日本の村社会の掟のようなものに従い、水資源を有効活用している。長い年月により、ここの意思決定が、組織の掟のようになり、それが複数の組織のネットワークになり、水資源がより多くの農民に使われるように自主的に管理されるようになった。
管理されているのは、水だけでは無い。例えば、田植えに時期を同時に行うことにより、害虫の発生を最小限にする事を試みている。インドネシアでは、一年間で三毛作も出来る気候であるが、それをすると、害虫が点々と田んぼを移り渡る事ができるので、害虫が大量発生する可能性が高まる。「何を植えるか」は「何毛作にするか」も、スバで決めて、メンバーはその決定に従うことになる。このスバと言われる灌漑管理グループは2300以上あり、その内の
65%が稲作に従事している。
現在は農業の工業化もバリに入ってきているので、1000年前とは同じように管理されては居ないが、まだこのスバの仕組みはバリの農業では欠かせない物となっている。今インドネシア政府はこのスバをユネスコの無形文化遺産に申請している。最終決定は来年に持ち越されている。