フランス人で変わったサーフボードを作っているヴィンスさんと知り合いになった。私が環境関連の仕事をしていると知って、何度も「私のサステイナブル(持続可能)なサーフボードの工場に来てください。」とお誘いを受けていたので、子供の社会見学を兼ねて見に行って来ました。
普通のサーフボードは、フォームと言われるポリエステル等の石油を原料とした発砲素材を、ガラス繊維とプラスチック樹脂で包んで作ります。サーフボードの生産量は他の工業製品と比べて少ないので、サーフボードの石油使用量は、社会や環境の大きな問題では無いと思います。しかし、ヴィンスさんは、出来るだけ「サステイナブル(持続可能)なサーフボード」を作りたいとのことで、石油を原料としたフォーム素材は使わないとのことです。
そして、彼はバルサとチークの木材を素材として、船を作るようにサーフボードを作ることにしました。だから、彼のサーフボードは格子で組んであり、中は空洞です。
ほら、ぽっかりと穴が空いていますよね。
ロッカーと言われるサーフボードの反りも、この通り綺麗にできています。このサーフボードの部品を持っているのがヴィンスさんです。この組はバルサ材で出来ているので、ビックリするぐらい軽いです。
わかりにくいですが、下の写真の様に、組んでいるようです。
この様に、木材を組んで作るサーフボードは環境面やサスティナブルでいくつかの利点が考えられます。
- 石油製品の消費を減らせる。
- 折れにくいので、長持ちする。
- 長持ちする木材製品にすることで、二酸化炭素を固体化しておける。
- インドネシア国内で素材を生産でき、輸送距離をへらし、地元への仕事ができる。
- 廃棄物を肥料などに二次利用できる。
4番の「素材の生産」は、工場の脇でバルサの木の苗が作られていました。大きくなったら別の場所に移して、5年でサーフボードの素材として使用できるようになるそうです。
5番の「廃棄物」ですと、下記の様に、廃材から肥料を作っていました。
その肥料を元に、工場の脇でトマトやパパイヤを作っていました。これらが巡り巡って、チキンになって、それを従業員が家に持って帰って、夕食になったりしているそうです。私も、帰りに幾つかのトマトをパパイヤの鉢植えを貰って来ました。
サーフボード作成の話に戻しましょう。
天然素材を使っているので、クオリティーコントロールが大変のようです。木材のストックを見ると家具工場のようです。ここから、余り重くない木材を使って、サーフボードを生産します。規定より重くなったボードは、出荷されません。
サーフボードが組まれた後は、普通のサーフボードの様に、シェイピング(削り出し)が行われ、サーフボードの形になります。
ヴィンスさんは「最新のシェイピング・マシーンで削っているよ」っと言っていましたが、「最新のシェイピング・マシーン」のはずのインドネシア人は、丁度昼ごはんに出かけていたようです。
その後、ラミネートされ木目が美しいサーフボードが出来上がります。
カイトサーフィン様のサーフボードはウエイクボードの様に、浮力がそれほど要らないので、格子を組んで、空洞を作らないようです。
こんな、サスティナブルなサーフボードをどう思いますか?
パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナード氏も「社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論」に書いていましたが、サーファーにとって耐久性や環境問題は、サーフボードを購入する時の一般的は重要点ではないでしょう。シェイピングのデザインや軽さ等の方が重要でしょう。私も実はそう思っている方です。
もちろん、ヴィンスさんはデザインやクオリティーには、自信を持っていますので、こんな事を書くのは失礼かもしれません。
しかし、サーフィンをスポーツと考えることから、一歩後ろに下がると、ヴィンスさんの「ちょっと重いけど、環境にやさしいかもしれないサーフボード」を、自然に受け入れることが出来るかもしれません。
老年サーファーのデーブが、最近こんな事を言っていました。
- サーフィンはただのライフスタイルだったな~。
- そして、サーフィンはいつからか、スポーツになって、
- 今では、サーフィンはビジネスだよ。
「ビジネスのサーフィン」も「スポーツのサーフィン」も悪くありません。ただ、一歩下がって自然と戯れるサーフィン文化をライフスタイルと捉えたら、デザインにカリカリする事もないでしょう。
興味がある方は、ここから注文してはいかがでしょうか。
VINCE Wooden Hollow SURFBOARDS
それから、VinceサーフボードのFacebookもあります。
内緒ですが、ロングボードやフィッシュボードが欲しいです。