2010年1月6日水曜日

グラミン・ファウンデーションのコンサルティング業務

後半でグラミン・ファウンデーション(GF)の金融(直接投資)以外のコンサルティングかそれに近い業務について話を聞いたので、まとめてみました。

GFのコンサルティング的な仕事で大きな部分を受け持つのが、シアトルにベースを置く、テクニカルの部署。彼らはこれらの事業をテクニカルと呼んでいるが、内容はIBMやアクセンチュアの様なソフトウエアの開発と戦略的マネージメントをあわせたコンサルティング業務だと解釈した。このテクニカルな部門は大きく分けて、「MFI」と「開発」のテクニカルに分けられている。


「MFIの為のテクニカル」の作業とは、個人ローンの取引のオートメーション化である。現在のところ、95%のフィリピンのローンは紙とペンで行われている。しかし、最終的に、これらの情報はExcelなどの電子的なデータに落とされる必要がある。この「紙」から「電子データ」への移行に入力ミスなどが入り込む余地が大きい。その為、この部分をオートメーション化するソフトウエアをGFのシアトル部署が制作した。

このソフトウエア、MIFOS.orgはJAVAで書かれたオープンソースのソフトウエアである。MFIは無料でダウンロードでき、運用も可能である。しかし、現実には、ほとんどのMFIはMIFOSを使う技能がないので、MFIがサポート無しに運用している例は殆ど無い。結果的には、MIFOSを使用する為に、MFIはGFにコンサルティング料金を支払ってインストールからトレーニングまでを発注することになる。これはオープンソースのソフトウエアのLinuxを使ったコンサルティング業務をおこなうIBMと似たビシネスモデルだと考えられる。

このコンサルティング業務はシアトルの欧米の運用費用をカバーする必要があるので、途上国のMFIには値段が高額に設定されている。この高額な料金に対する批判を受け、GFはある特定のMFIがMIFOSを必要としているかどうかの意思決定をサポートする業務を始めた。この業務は以前はMIFOSとは独立して行われていたが、今はMIFOSを使うかどうかの意思決定の為だけでに行われている。


もう一方の「開発の為のテクニカル」とはもっとエンド・ユーザーに対してのサービスである。しかし、クライアントはMFIであることにかわりはないし、サポートするレベルも戦略的な意思決定である。例えば、マイクロファイナンスが成長事によって、マイクロファイナンスが慈善事業ではなく、持続可能なビジネスであることは証明された。しかし、その結果、貸し付け先も、不履行が起こりにくい事業を中心とした物に集約されて、貧困層への貸し付けは意図的に無視されてきている。その為、GFはMFIに対して、これらの無視されてきたエリアで、持続可能なビジネスを行うためのコンサルティング業務を行っている。

具体的な例として、バングラデシュのグラミン電話の業務を真似て、貧困層が携帯電話を公衆電話の様に使用する業務や、携帯電話で市場価格を調べ、一番良い時期に農作物を売る事を助けるビジネスモデルをMFIにを紹介する。これによって、MFIは貧困層でもビジネスを行える可能性がある事学ぶ。そして、ここでもシアトルの部署は携帯電話のソフトウエアを制作したりと、重要な部門を占めている。


それから、金融業務でも少し書いたが、社会的なパフォーマンス・Social Perfomance Management(SPM)を分析するコンサルティングも初めている。上にも述べたが、MFIは持続可能なビジネスとの認識はできている。しかし、MFIは本来、貧困層の開発サポートを目的に始められた事業である。その為、貧困層の削減に役立っているかどうかの分析が必要になってくる。現在行われている分析は、逸話的な質的な分析は、大学などがエコノメトリックの手法を使った大掛かりな物のどちらかである。後者はMFIには技能がなく不可能は分析方法である。その為、ワシントンのGFはこれらの中間の分析方法、Poverty Index、を開発した。

このインデックスは、各国の国勢調査を元に、ある家庭が貧困かどうかを判断するそれほどデリケートではない10の質問項目を確率的に選択した。この10の質問を行えば、収入などを長期間なモニタリングをしなくても、ある家庭が貧困である確率を測定できる。収入などに長期間モニタリングに比べて、大幅にコストの削減が見込まれる。さらに、簡単に質問事項であるので、同じ家庭を期間を開けて質問をすることによって、「マイクロ・ファイナンスによって貧困層の削減は行われたか」を分析可能になるかもしれない。現在はまだ、十分は時系列のデータが揃っていないので、この分析はまだ不可能である。

この分析方法も無料で公開されており、MFIは独自に行うことが可能である。しかし、十分に分析方法を理解しないままに、この分析を行っているMFIも多い。現在、GFをSPMのコンサルティングとして雇う例は多くない。その場合も、クライアントはMFIより他のコンサルティング会社の場合が多い。

最後に、昨年からGFはHuman Capital Developmentなるものを進めている。これに関しては、過去のブログに書いたのでそれを参照することに致します。


【グラミン財団の方針から学ぶ、カリスマ会社の問題点】
http://blog.takeshitakama.com/2009/11/blog-post_12.html


このプログラムも現在は、コンサルティング業務としては開発段階であり、このプログラムにMFIが料金を払うかどうかは未知数である。

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