2012年7月27日金曜日

気候変動がインドネシアの稲作に与える影響―脆弱性という考え方(2) ~気候変動の影響と、脆弱性という考え方~



前回の続きで、今月日本で行ったセミナーの説明をします。






気候変動の影響と、脆弱性という考え方

地球が温暖化する事により、地球規模で気候が変動すると考えられており、既に多くの異常気象が観測されています。その結果として、干ばつ、ハリケーン、洪水等の災害が今までとは異なった状況で起こり、これらの災害は、農業を含めた人間活動に影響を及ぼします。つまり、これらの災害は、人々の脆弱性と関連しているので、気候変動への適応策は開発問題にも関連しています。アジア開発銀行が作成したレポートによると、東南アジアでもこれらの天候に関連した災害が増えると考えられています。しかし、「災害が存在する事」と、「脆弱である事」は、同じではありません。





例えば、フィリピンは「雪崩以外の災害は全て存在する」と言われております。そして、日本は「雪崩を含め全ての災害が存在します」。しかし、日本はフィリピンより、天候災害に対して脆弱であるとは言えません。それは、脆弱性とは、災害に対する暴露度(exposure)だけでなく、感度(sensitivity)と適応能力(adaptive capacity)によっても形成されているからです。この日本とフィリピンの比較ですと、日本は災害に対して、高い適応能力を持っているため、フィリピンより、脆弱では無いと言えます。この3つのサブ要素を全て含めた脆弱性は、実際に脆弱であるかシュミレーションを行なう必要があるため「結果による脆弱性」(Outcome vulnerability)と呼ばれています。一方、暴露度を考えず、感度と適応能力だけを見て、「潜在的は脆弱性」(Contextual vulnerability)を調べる方法もあります。「潜在的は脆弱性だけで充分だ」との意見は、天候災害(暴露度)を予測することが難しい為、シュミレーションを重要視していないことから来ています。





このスライドで消化した「21st Century Socioclimatic exposure」は失敗例として、一見の価値があります。何故か、米国と中国が一番脆弱性が高いことになっています。人口が多いことが必要以上に計算式に入っているのも一つの失敗の要因です。




脆弱性評価を行うための、私からの指針です。






それでは、また続きは後ほど!

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